物を減らす擬人化メソッド

擬人化メソッドで「捨てる悩み」から自由になります

片づけが止まる理由は、感情と基準の不一致にあります。擬人化メソッドは、モノに役職を与え、役割と出番で冷静に判断できるようにする仕組みです。役職は新入社員、現役社員、ニート社員、定年退職、外注さんの五つです。配置と適量を、家族で合意しながら決めていきます。

家庭という会社に見立てた役職ラベリングのイメージ

よくある課題

  • 「思い出がある」「いつか使う」で、判断が止まってしまいます。
  • 家族で基準が揃わず、話し合いが平行線になりがちです。
  • 収納を工夫しても、量が多すぎてすぐに溢れてしまいます。

五つの役職で、社員構成を整えます

新入社員

家に迎えたばかりの物です。しばらくは試用期間とし、仮の定位置で出番を観察します。配属はまだ決まっていませんが、活躍を期待されている存在です。

代表例:新しく買った調理家電、新学期の文具、まだ未開封の物、など。

現役社員

毎日使う主力です。一等地に置き、最短動線で「取り出す一秒、戻す一秒」を設計します。この人たちが働きやすくなるように、整理収納でサポートします。

代表例:歯ブラシ、フライパン、ランドセル、鍵、財布、など。

ニート社員

最近出番がない物や、迷子になっている物です。隔離箱に入れ、期限ラベルで再評価します。期限が来たら、外注か定年へ進めます。

代表例:サイズが合わない服、気が向いたら使う趣味道具、予備品の持ち過ぎ、など。

定年退職

役目を終えた物です。感謝を込めて卒業させます。思い出は写真や記録に残し、譲渡、リユース、処分を選びます。壊れているのに惰性で置いている物も対象です。

代表例:古い家電、サイズアウトした子ども用品、過去の書類、など。

外注さん

たまにしか使わないけれど、あると助かる存在です。所有せず、必要な時だけレンタルやサービスを活用します。

代表例:来客用布団、季節家電、工具、式典衣装、タコ焼き機、など。

評価、配置、卒業で、社員構成を最適化します

人事評価シート

出社頻度、貢献度、愛情度の三軸で評価すると、役割が明確になります。ご夫婦で別々に記入し、同時に見せ合うことで考え方の差が可視化され、価値観のすり合わせが進みます。

辞令

ただ捨てるのではなく、役割が変わった社員(物)への感謝の式典として「辞令」を発行します。けじめがつくことで、納得して手放せます。

人事配置報告書

現状の社員(もの)構成を可視化し、理想の比率を決めます。人事配置変更後にどれぐらいの成果があったかを可視化しています。定期的に行うことでモチベーションアップにつながります。
ニート社員が多い場合は、配置転換をして現役復帰させたり、外注化、定年退職などの判断を行います。

進め方(三ステップ)

一. 用途と頻度で、役職を決めます

「どんな役割か」「どれくらい出番があるか」を基準に、新入、現役、ニート、定年、外注を判定します。家族で基準を共有し、判断の軸を揃えます。

二. 家族人事会議を開きます

役職は見合っているか?1つの役職に物が集中してないか?役職変更は可能か?引退させるべきなのは?などできるだけ物を人として見てあげます。
私たちは物の活躍する場を与えているのです。

三. 手放しと外注の分岐を決めます

定年退職は、感謝を込めて卒業します。ニート社員は期限で再評価し、外注か定年へ進めます。こうして、家の社員構成が適量に整います。物には感謝をして辞令で次の職場へ送り出しましょう。

実際のエピソードから

あるご家庭で、収納棚の奥から賞味期限が10年以上切れた乾パンが出てきました。
奥様は「まだいけると思う」と手放すことに迷っていましたが、私はこう声をかけました。

「この乾パン…せっかく乾パンとして生まれてきたのに、一度も乾パンとしての役割を果たせぬまま“老後”を迎えてしまっています。
そろそろ“定年退職”させてあげたらどうでしょうか?」

その場は笑いに包まれ、ご家族で乾パンを少し味わってから、笑顔で“引退”させることができました。

疲れ切った鍋、新人のまま2年配属が決まっていないお玉、5年居座り続ける紙袋部のお局たち、このように物を擬人化することで不思議と物の本質に触れることができるのです。

なぜ擬人化メソッドは優れているのか?

  • 心が動くきっかけになる:「捨てる」ではなく「定年退職」と考えることで、気持ちが軽くなります。
  • 家族の会話がやわらぐ:「このタッパーもそろそろ定年だね」と笑顔で話せる雰囲気が生まれます。
  • 判断基準が増える:「残すか捨てるか」だけでなく、「異動」「昇進」「外注」など選択肢が広がります。
  • 感謝とストーリーが残る:モノを“社員”と見立てることで、暮らしに小さな物語が生まれます。

まとめ

感情ではなく、役割と出番で判断できるようになります。納得してモノが減り、適量が決まり、家族の対立が減ります。結果として、収納の工夫が生き、片づけが続きやすくなります。

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